題:巷の超能力事情 発表年月日:2006年 7月 8日
「超能力」と聞いて、思い浮かべるのは、スプーン曲げ、透視、予知予言、気功、念力、霊視などだろう。これらには胡散臭さがつきまとう。科学的根拠がないからだ。しかし、人が本当に困り、途方に暮れると、最後には頼られたりもする。こういった「超」能力は、科学の発達に反比例して日陰に追いやられてきたが、人間の歴史の中で完全に居場所を失う事はなかった。そして今は「超能力ブーム」だと言われている。科学の発達に依拠した経済が行き詰まり、西洋医療の現場でも行き詰まりが見られるようになった今、新しい拠り所、救いを求めて、科学とは正反対の日陰の力に注目が集まっていると言えるだろう。氏名:宗藤 悦子(東海大学・いわき明星大学非常勤講師、 女優、整体師) チャンスが訪れると、待っていたかのように、超能力による救いの実例が発表される。精神科の医者や心理学者、整体、気功などの治療家による臨床例も多い。 「前世療法」のブライアン・ワイス、「死後の世界が教える人生は何のためにあるのか」のマイケル・ニュートン、「魂の不滅」を前提に治療を行っている奥山輝実などは精神科医である。 そして、それを客観的に理解、説明しようという実験、研究者も生まれている。 物理学関係者、心理学者、哲学者が多く、シュレジンガー、ハイゼルベルグ、フロイト、ユングなどに始まり、船井幸夫(産業心理研究、経営コンサルタント、船井研究所)、天外伺郎(ソニーのアイボの生みの親)、右脳教育の七田眞(幼児英才教育の七田アカデミー)、モンロー(モンロー研究所)、チョプラ(Synchronicity=偶然の一致現象の研究、「本質は素粒子であり、波動である」、)全財産をかけ自らを実験台にしている森田健(不思議研究所)など多数である。 研究者たちの共通点は、世界観がHolistic だということだ。宇宙を多次元の時空をまるごと内包している一つの完全体とみなしている。人間はその宇宙の一部であるから、顕在意識は限られた時空しか理解しないが、潜在意識(精神、魂)はすべてを知っていると言う。従って、程度の差こそあれ、人間には元々、「超」能力があり、環境を整え練習を積めば誰でも「超」能力を使えるそうだ。(ref.『「超能力」から「能力」へ』村上龍x山岸隆) このことから、二つの動きが著しい。 一つは、「能力」を伝授したり、訓練したりする、「能力」の商品化だ。この中には、能力をドライに商品として扱っているものと、宗教めいた権威を付加しているものがあるが、科学のお墨付きを得ていない分、悪徳商品になりやすい。 その点、もう一つの動きは、能力を目的化していないので、グレイゾーンが少ない。医療、治療現場での応用である。これは治療効果をあげることが目的であり、結果から比較的客観的に能力を確認する事ができる。 これが欧米でもてはやされ、盛んに研究されているのも、西洋医学への反動だろうか。ドイツ波動医学では、人体の臓器が発するのと同じ波動を機械から送り出し、それに患者の臓器を共鳴させて治療効果を上げているらしい。こうなると、もう立派な科学であってここで論じるものではないかもしれない。 このように、僅かではあるが、「超」能力は「超」の冠を脱ぎつつある。 |