第48回大会発表概要


題:The Monkees―British Invasionが生んだ
1960年代アメリカン・ポップ・バンドの光と影


発表年月日:2013年12月21日

氏名:君塚淳一(茨城大学)


 アメリカのポピュラー音楽界には1950年代後半から60年代、ロックンロールやロカビリー、その後はアイドル型ポップスやソウルなどめまぐるしく多様なジャンルの音楽が登場する。だが60年代半ば 業界を激震する大事件が起きる。いわゆるBritish Invasionで、特にアメリカのブルース、またロックンロール、ソウルなどの黒人音楽に影響を受けて腕を磨いたThe BeatlesやThe Rolling Stonesなどの英国バンドの、アメリカン・ヒットチャートの独占とTV出演や公演である。これに頭を悩ましたのは言うまでもなく、それまで作詞作曲を請け負うティンパンアリー、スタジオミュージシャン、レコード会社、そして歌手という分業体制で潤っていたアメリカの音楽業界であった。英国ブランドしか売れなくなったことで、この分業で活躍していた連中は仕事がなくなったからだ。
 だがその後、圧倒的に人気があったThe Beatlesが公演をやめラブソングを歌うアイドル路線を変更し、精神世界を追及すると共にアルバム制作中心へと活動を移行すると、それをチャンスとアメリカ版The Beatlesを作る計画が開始された。それもTVシリーズ化の決定と既に準備された脚本、そうそうたるソングライターによる楽曲、関連グッズなど全てお膳立てが揃った上で、オーディションを行い4人のポップ・アイドル・バンドのメンバーを集めた伝説的な企画であった。The MonkeesはTVシリーズが功を成し、ヒットチャートではThe Beatlesを抜く人気バンドとなり英国では本家のThe Beatlesには歓迎を受けるが、アメリカで前座を勤めたJimi Hendrixはふてくされて「俺は奴らが大嫌いだ」と吐き捨てるように言った。
 この「エアーバンド」と称されてきた、日本では“Day Dream Believer”で知られるThe Monkeesだが、2000年に入っても根強いファンが存在し、彼らの1960年代の活動の日々を克明に記録したThe Monkees: the Day-By-Day Story of the '60s TV Pop Sensation (2005)や楽曲の解説Monkee Music (2011)が出版され、特に 2012年2月29日にボーカルのDavy Jonesがこの世を去ると、それも盛り込んだMonkee Business: the Revolutionary Made-for-TV Band (2013)なども出され、またライブは未だに続けられ、この異色ポップバンドの人気は衰えない。この「作られたられたポップ・アイドル・バンド」MonkeesとBritish Invasionそしてアメリカ音楽業界の関係の表と裏に焦点を当て1960年代当時のアメリカと合わせて論じた。





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