研究会第7回大会発表概要


題:カリブ音楽の向こう側―バハマ、トリニダード編―

発表年月日:2001年9月7日

氏名:山本伸(四日市大学短大部)


 音楽にはさまざまな諸相があるが、カリブの音楽のもつ社会性にスポットを当てたのが今回の発表であった。今夏のバハマへの取材旅行の目的であった「ジャンカヌー音楽」(ジャンカヌー=リオやカーニバルのカーニバルに似たバハマの伝統的祭事)の新しい試みであるクリス・ジャスティリアン・プロデュースのCDのリズムと歌詞を、トリニダードのポップ音楽と比較しながら分析した。そこに見えたのは、「伝統」音楽のポップカルチャー化に向けての試みと困難、バハマポップスに影響を与えているのは世界的に有名なあのジャマイカン・レゲエではなく、さほどでもないトリニダードのカリプソ/ソカだったということ、少なくともバハマの音楽産業はジャマイカやアメリカほど進んではいないこと、などであった。重要なのは、バハミアン・アイデンティティを音楽を通じてより明確なものへと高めていこうとするジャスティリアンの姿勢である。背景にはイギリスの植民地支配から独立してまだ30年足らずであるバハマの歴史的状況がある。詳しくは、11月発売の『ミュージック・マガジン12月号』に掲載される予定ですので、ぜひご覧ください。

◆なお、以下の山本氏のお仕事に、上記発表概要と関連する事柄も書かれています。合わせてご一読下さい。

翻訳『クリック?クラック!』(五月書房)
全米で話題沸騰のハイチ系アメリカ人女性作家エドウィージ・ダンティカの世界。とくに女性読者に絶大なる人気!
共訳『オリエンタリズムを超えて』(新評論)
NYテロで再び話題沸騰のサイードの古典『オリエンタリズム』をさらに発展させたグローバリズムへのアンチテーゼ理論書。
共著『地球村の思想』(新評論) (11月刊予定)
現代世界を語るキーワードのひとつ、「グローバリゼイション」についての、日本をはじめ世界の知識人寄稿による政治、経済、文化論集。
共著『リーラーVol.2』(文理閣)
宗教と教育をテーマに、その重要性とあり様をさまざまな角度から語った随筆集。
『民主文学』(2001年10月号)に「非コンテクスト化されたカリブイメージ」を寄稿。
『ミュージック・マガジン』(2001年9月号)に書評『ニグロ、ダンス、抵抗』(G・アンティオプ著、人文書院)を寄稿。
『ことし読む本 いち押しガイド』リテレール別冊〈13〉に「カリブ界地域を読む八冊」を寄稿。




※研究会会誌掲載時のものをそのまま掲載してあります。ご了承ください。

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